INTERVIEW長門で働く方々の声

INTERVIEW地元とよそ者が融合したステージというのがあると思っているんです。
いろんな方がどんどん来て、ごちゃまぜにになりながら化学反応を起こして新しい地域おこしができたらいいなと思っています。

お話を聞いた人

株式会社 百姓庵井上悠然 さん

移住の経緯

出身は山口県下関市です。2002年にこの油谷島の事を知って移住してきました。

ここに移り住んだのは塩を作りたいからです。僕が塩作りに興味を持ったのは23歳の時で、たまたま屋久島までバイクで旅していた時に天草で塩を作っている人がいることを知りました。どうやって作っているんだろうと興味持って訪ねて行ったんですね。塩自体が平成14年まで作ってはいけなかったんです。(※2002年塩専売法が廃止)
塩作りが解禁されるということで天草で出会った方に10年ぶりに訪ねていって場所もみつけたから塩づくりを教えてくれと頼みました。僕の師匠です。

移住を油谷島に決めた理由

塩を美味しく作るにはどのくらい原生林が残っているかという事、それと閉鎖域があって汽水域がないとダメなので真水と混ざる場所っていうのが条件なんですね。なので川や湾のような閉鎖してる空間があって川の山側に原生林が残っているかを見ながら考えながら全国を周っていろんな海水をなめ歩き、一番美味しい良い場所というのを1年間探しました。それでこの場所で作るのが一番いいなと思いました。森の栄養がたくさん来てるところにしか海草って生えないんですよね。より旨味が乗る場所っていうのが海草の生える場所なんです。

油谷湾の持つポテンシャル

灯台もと暗しって言いますけど本当にその通りで。角島くらいまでは泳ぎに行ってたんでよく知っていたんですよ。でも油谷湾の手前までしか見ていなかったっていう。最初に県外を見て歩いたんです。県内は知ってると思ってたんで。地元にいるとこれ当たり前じゃないですか。地元の人は全国を見て歩いていないのでよそとこの海の素晴らしさの違いがなかなか気づかれていないというか。もったいないですよね本当に。すごい海を持っているんですけど、ここのポテンシャルにまだまだ気づかれていない方のほうが多いのかなと思います。逆に僕たちよそから来た人間がここの良さをもっと伝えて、ここの地域の魚介類とかも素晴らしいので良さをPRしていけたらいいなと思っています。

移住に至るまでの流れ

最初にこの油谷島にどうにか住みたいんだけど、どうしたらいいですか?って役場に行ったんです。当時まだ長門市になっていなくて油谷町だったんですけど、ちょうど役場に油谷島出身の方がいらして紹介していただいたんです。その後、うちの親父が今自治会長やってるから紹介するよっていうので紹介してもらって油谷島の方たちに会わせていただきました。本当にこんな所で仕事できるのかってすごい心配されたんですけど何回も会ううちにそこまで言うんだったらと空き家を紹介していただきました。

塩づくりの日々と島の人たちの優しさ

最初はできたことの喜びが強かったです。やるまでは結構大変でした。山に行って木を切ってとかやっていたので。
ここも荒れ果てた土地だったんですね。昔、牛を飼っていた場所で背丈よりも高い草がぼうぼうに生えていてそういう所を開墾するところから始めたのでそういうすごく大変だったんですけど、出来上がった時のお塩はすごく感動しましたね。とはいえ理想とする塩が出来上がるまでには何か月もかかりました。一年ぐらいかけてようやくこういう形にしようというのが見えました。

————塩田は初めから組まれている?
いや、最初は違ったんです。始まった年に火災に遭いまして。全焼して全部作り替えました。消防の人たちもみんな消火に来てくださって地域の人たちもすぐ連絡をくれて。そういうのはすごく嬉しかったですね。その後も快く「うち解体したから薪いらんかね」とか「頑張ってまた続けり」という感じで押し出してくださったのですごく嬉しかったですね。

百姓庵の塩づくりの特徴

特徴はまず塩田を使って海水を濃くするという工程がある。これは珍しいかなと思います。それと釜で焚くんですけどまず鉄釜を使っているっていうのが少ないんですね。それに燃料に薪を使っているというのがもっと少なくて、その辺が他の塩と差別化するポイントになっていると思います。ボイラーで焚くと温度が一定になるんです。実は塩の結晶って温度が高ければ高いほど小さくなるという性質がありまして、ずっと高音で焚き続けられるので同じ小さいサイズの結晶しかできないんですね。でも薪で焚くとランダムに温度が変化するので温度が上がったり下がったりを繰り返しながら様々な大きさの結晶が育っていくんです。なので、結晶の種類が10種類くらいできます。それが薪で焚いている特徴になります。

鉄窯のメリット

これは硫酸カルシウムです。

————これは焚くことでそういう風になるんですか?
そうですね。鉄の窯で焚くことによって鉄と反応して出るんです。硫酸カルシウムを析出(せきしゅつ)するのでスッキリとした塩味が効く塩ができるんです。ステンレスの窯だとこれが出ないので、もさもさしたような味がぼやけた塩になるんです。

————これはもともと海水だけですよね?
海水だけです。海水の中の成分です。ちなみにこれは肥料になります。カルシウムなので牡蠣殻などの代わりになります。

————トマトを作られているんですよね?
はい

————その肥料になると?
そうですね野菜の肥料になります。塩と分かれてとれる「にがり」というのも肥料として素晴らしいです。

————循環しているってことですね
そうですね全部無駄なものはないですね。

トマト栽培の工夫

野菜はトマトを主軸に育てていて、トマトジュースやトマトゼリーにしたりしています。ただトマトとして販売するには立地的にすごく難しくて都会の人たちまで届けることは難しいんですね。ある程度日持ちさせることが出来ないとより多くのところに届けられないということで加工品に向いたトマトを主軸にしたんです。いろんな野菜を育ててはいるんですけど主軸にはなかなかなりにくいです。

養豚の復活と塩を生かした商品開発

この地域で昔盛んにやっていた養豚をどうにか復活させたいなっていう思いがあって、できるだけ自然な形で養豚をしたいということで「放牧豚」という森の中で豚を放して飼うというやり方をやっています。豚肉とお塩って相性がすごく良くて加工品に向いてるんですね。なのでベーコン、生ハム、ソーセージっていう形で加工してしかも塩だけで味付けしてて添加物も一切使いません。冷凍にはなってしまうんですけどそれで全国どこでもお届けできるという形で完全に無添加のソーセージってなかなかないと思います。

塩・養豚・農業 循環して無駄のない運営形態

塩の中で生み出されるものって全部無駄がないというか。薪の灰は植物の肥料にもなりますし先ほど言った硫酸カルシウムも畑の中のカルシウム資材として使えるんですね。普通は廃棄するものなんですけど僕らの場合は廃棄というよりもそれが次の用途として繋がっているので、僕たちは農業もやっているおかげで全部繋がっている。野菜も余ったものは全部豚の餌になりますし、豚の糞とかも畑の肥料になりますし、全部循環しているんですね。

地元とよそ者が融合した地域おこし

いま長門に欠けているのは新しいことに取り組もうとするマンパワーが少ないと思っているんですね。地元の人は一生懸命やっていてそこまで余裕がない状況なのでよそから来ないと新しいものは興せないなと思うんですよね。なのでよそからの視点で新しい活動ができる人が増えることが地域を本当に興せると思うんですね。チャンスしか転がってないんですよ。だから来てみたらすぐわかると思う。

いろんなチャンスがあるので「これ」って言えないぐらいあるので。山ほどあります。なのでそのチャンスをまず見に来てもらってそれを一つでもいいので何か叶えてもらうことができればこの地域は本当にもっと豊かになって、誰かが新しいことをやることで僕たちもそう思っているんですけどある程度ビジネスが軌道に乗ってくると地元の人たちとも一緒にコラボしたいろんな形が次のステージでできるのかなと思っているんですね。

最初は事業立ち上げって大変なのでなかなか一緒に手を取り合ってって難しいんですけど、ある程度乗ってくればまた次の段階、次のステージというのは地元と新しいよそ者が融合したステージというのがあると思っているんですね。そこへ向けてまだまだマンパワーが足りていないのでいろんな方がどんどん来てごちゃまぜになりながら化学反応を起こして新しい地域おこしができたらいいなと思っています。

これからの展望

僕たちと一緒に事業をやりたい人を募集してますし、僕たちは一人来れば一つ事業をつくるということをやっているので無限なんですね。なのでどこまでもやりたいですし。興味があって自分は起業は出来ないけど一緒にやりたいという人がいればぜひうちの方に来ていただけたら一緒にやりたいと思いますし。そういう仲間を募集しています。横の関係でいろんな人とコラボしながら自分たちだけでは叶えられないことを叶えていきたいなと思っています。

INFORMATION

株式会社 百姓庵

住所
〒754-623
山口県長門市向津具下1098-1
TEL
087-34-0377
FAX
050-3172-4859
URL
https://hyakusho-an.com/