一般社団法人 アグリながと

ながとのこえ #01

一般社団法人 アグリながと

事務局長 (たか)(はし) (やす)(ひと) さん

畜産部門部長 (なか)(むら) (たか)() さん

就農希望者を雇用して育成、
独立した担い手に

高橋 一般社団法人アグリながとは、耕種部門と畜産部門を経営していまして、耕種部門ではおよそ7haに米・麦・大豆・キャベツなどを作付、畜産部門では肉牛の飼養を行うだけでなく、2023年10月には県内初となる「キャトルステーションながと」をオープンさせています。

アグリながとは、長門で農業をする人を増やしていくため、19年4月に長門市・()(かわ)養鶏農業協同組合・長門建設業協同組合の出資で設立された法人です。ですから事業の軸は人材育成。農業を志す人を研修生として1~3年雇用して技術を習得してもらい、独立・就農してもらうのが目的です。現状は耕種部門に2人の研修生がいまして、2年後には独立、就農する見込みになりました。耕種部門・畜産部門を問わず研修生は随時募集中です。興味・熱意があれば経験は問いません。「土を触ったことなんかないよ」という人でも大丈夫、しっかり育てます。

アグリながとでは、担い手不足の耕地について農作業受託も行っています。そうした耕地を私たちが預からなくても済むくらい、新たに就農する人を育てていけたらいいと思いますね。

繁殖農家の負担を軽減する
「キャトルステーションながと」

中村 特産品「(ちょう)(しゅう)ながと(わ)(ぎゅう)」があることでも分かりますが、長門市は肉牛の繁殖が盛んな地域です。担い手不足に悩む繁殖農家の負担を軽減し、飼養頭数を増やすための実証実験の場としてつくられたのが「キャトルステーションながと」です。キャトルステーションとは、繁殖農家の子牛を生後4か月くらいから子牛市場に出荷するまで預かって飼養する施設。JAや第3セクターでない施設は全国的にも珍しいでしょう。

「キャトルステーションながと」では、子牛の飼養をするとともに、長門農林水産事務所にご協力いただいて定期的に子牛の体重・体高などのデータを取っています。このデータは繁殖農家さんと共有され、2・3年後に整備が計画されている本格的な畜産団地のための基礎データともなります。

体調を崩されたご高齢の繁殖農家さんの「一時的に預かってほしい」といったニーズにも対応し、とても喜んでいただいています。私は長門の生まれですが、10年ほど地元を離れて畜産を学びました。Uターンしてきた故郷で習得した知識・技術が活かせ、喜んでもらえているのですから、とても大きな働きがいを感じています。

山があって、海があって、
自然と関わりながら農業ができる

高橋 アグリながとでは、スマート農業、先進技術で省力化し、若い人でも入りやすいような農業をつくっていけたらと考えています。また、「(へ)(き)すいか」「長門ゆずきち」といった地元の伝統作物にも取り組んでみたいですね。

長門市では、定住支援担当と農林水産担当とがタッグを組んで、移住や就農希望の方々に支援を展開しています。実は私、事務局長になる前は農林水産課で新規就農の窓口をしていたのですが、移住・就農しようという方々は口々に「山があって、海があって、自然と関わりながら農業ができることの魅力」を言うのです。ずっと地元にいた私としては、改めて長門の魅力を教わった気がします。

アグリながとは、就農する人材を育成する場です。まずはお試しでですね、ご本人のご意向の期間で構いませんので、月々のお給料をもらいつつ農業を体験し、「長門の農業はこういった形でやるんだ」「長門の魅力はこういう所なんだ」と実感していただいた上で判断をしていただければと思います。

就農希望者にとって
長門はチャレンジできる場

中村 「キャトルステーションながと」で預かっている子牛は生後3・4か月から9か月、これをもう少し広い範囲でやってみたらどうか、といった意見もあります。そういった意見を1つひとつ検討し、誰もが預けやすいような施設にしていきたいと思います。

事務局長の話にもありましたが、長門には豊かな自然があります。私も約10年ぶりに長門に帰ってきて、改めて地域の魅力的なところを発見しています。

そして、これは全国的にそうだと思うのですが、農業は少子高齢化もあって担い手不足です。長門でも「継ぐ人はいないし農地を手放そう」とか、「牛の飼養はちょっと続けられない」という方が多い。逆に言えば、これは「自分たちでやってみよう」と新規就農を志す人にとってはチャンスではないでしょうか。

長門は、やる気さえあればどんどんチャレンジできる場所です。1度見に来ていただくだけでも構いません。農業や畜産に関して興味があるという方は、ぜひアグリながとにご相談ください。